Small Talks

みんなの語学


ジョンのファンであれば必ずといっていいほど、
一度は気にしたことがあるのがのがジョンの語学力。
彼は5号での空き時間に語学の勉強をしていると設定にありますが、
実際はどのくらいの言語を操ることが出来るのでしょう。


以下、私の限り無く個人的なイメージでは、母国語の英語に加えて、
アメリカの語学教育の第一外国語であるスペイン語はまず間違いなくOK。
そこから派生して独仏伊、ポルトガルのラテン語・ゲルマン語系西欧言語もいけるでしょう。
北欧の北ゲルマン語系はドイツ語に近いので、おそらく話すのは多少難しくても、
聞けば意味はわかるのでは。

…と、文化的に近いところはいいですが、問題はここから。
Price of Peace』を見てくださった方から
米国の宇宙飛行士は共同作業のためなどにロシア語も話せるとのお話を伺ったので、
ロシア語はとりあえずOKということで。
東欧はロシア語から類推できるものに限ればなんとか、という程度。
東洋言語は、ハーバードには中国人留学生が多そうなので
そこで中国語をマスターする機会があってもいいかなとも思いますが、
それ以外はちょっと難しいのではないかと思います。
もし彼が本格的に漢字の読解をマスターしているとしたら
日本語と韓国語は多少通じるところもあるでしょうが、
単語はおろか、文字すら応用のきかない他のアジア各国の言語を
彼が一つ一つ習得していったとはちょっと考えられません。
ただご存知の通りトレーシー邸内にはやたらめったら東洋美術が多いので、
そこから得られる程度の知識はあるとは思いますが。
ほら、あのデスク脇の墨絵の怪しい漢字とか…。
でも、西洋人が成人してから漢字を習得しただけでも驚異的な頭脳の持ち主だと私は思います。

そして世界の主要言語は押さえておいた方が望ましいという観点から、
目下アラビア語に挑戦中、といったところでしょうか。
すでに只者ではありませんね…。^_^;


さて、ジョンのおかげで救助活動初期の情報収集はクリアしました。
でも彼等は国際救助隊。当然、世界各国から救助要請が飛び込んできます。
そして実際に現地に飛ぶのは5号に常駐している以外のメンバー。
では、他のメンバー達の語学力はどうでしょうか。
先のジョンと同じ理由から、全員スペイン語は話せるとして、問題はそれ以外。


スコットとゴードンはもしかしたら、それぞれ、特定の言語に強いかもしれません。
彼等は米空軍とWASPという、世界中に拠点のある公的組織に所属していました。
しかも独身。
辞令一枚で世界の果てに飛ばされたとしても不思議はありません。
まぁ、日本に何年いようが全く日本語のだめな米軍兵士はいくらでもいますが、
そこは聡明な彼等のこと。
現地人との日常的なコミュニケーションが可能な程度にはあっという間に上達したでしょう。

ただ、二人のアプローチの仕方は対照的。
スコットはどちらかといえば語順や単語など最低限の知識を得てから実践に望んで、
その場での不備をステップに下準備をして次回に備えます。
それに対してゴードンははなから実践ありき。
「はい」「いいえ」すら言えない状態でも現地人の中に飛び込んでいきます。
おそらく彼には言語に頼らずに意思の疎通を可能にする天賦の才があると思うので、
その過程をその場で現地の言葉に置き換えていく方法をとることで、
それなりのコミュニケーションがとれるレベルに驚異的なスピードで達するに違いありません。

ただし実践前提ですから、習得できる言語の種類が限られるのがゴードンの欠点。
その点、スコットはマスターした一つの言語をもとに、
類似した周辺諸国の言語までシステマティックに押さえることが可能です。
もし彼が日本語をマスターしているとしたら、各地の方言の違いまで網羅したでしょう。
そういう意味で、スコットはジョンの次に語学に強いのではないかと私は思います。


それに対して、私の中では語学という分野について少々、分が悪いのがバージルとアラン。
彼等には語学の才に関する根拠がいまひとつ希薄です。

バージルはデンバースクールを卒業してから国際救助隊が始動するまでの間の経歴が不明ですが、
その間に美術館めぐりや演奏会を聞きに行ったりと、ちょくちょく旅行はしていたかも知れません。
彼は映像の中でピアノでジャズナンバーやクリスマスキャロルを演奏し、
油絵で風景画やキュビスムのアランを描いています。
サンプルが少ないので何とも言えないところはありますが、
これらを見るかぎり、彼が特定の民族音楽や美術に入れ込んでいるとはあまり思えません。

当然、その時々でのマイブームはあったにしても、
彼の興味の根本がジャズと西洋絵画にあったとすれば、
先の旅行の行き先は西欧諸国かアメリカ本土がほとんどでしょう。
おそらく彼の実用可能な言語はこの範囲に限られます。


対するアランは宇宙飛行士の資格とレーサーの経歴を持っています。
でも、これらはあまり語学習得には役立ちません。
これが英語圏以外の外国人なら宇宙飛行士→NASA→英語バリバリ!の構図も考えられますが、
彼はアメリカ人。当然のことながら母国語ですんなりパスです。
まあ、先のジョンの例から行けば、アランも一応、ロシア語は話せることになりますが。

レーサーになってからはツアーで世界中を転戦したかもしれません。
でもレース前はセッティングや練習走行に追われていたでしょうし、
レース後は現地での骨休め休暇もあったかもしれませんが、
彼女でも出来ないかぎりアランが彼の地の言葉を話せるようになるほど
その土地に執心するとは思えません。
というわけで5号の立派な翻訳システムは9割り方、彼のためだと私は思います。


その翻訳システムをインストールした張本人、ブレインズ。
天才と誉れの高い彼ですが案外、語学は盲点かもしれません。

彼の専門の物理や各種の工学を論じるのに、英語以外の言語はまず必要ありません。
学会の研究論文はたいてい英訳がありますし、
物理・工学系の国際学会に至っては全世界、どこで開催されても英語が主。
彼は研究熱心なので、より理解を深めるために
各国の研究者の論文を原語で読もうとするかもしれません。
その点ではブレインズは数ヶ国語を読破できるかもしれませんが、
学術論文は単語の意味や用法が限られているので、
ある意味、小説などの情緒的な文章を理解するよりもずっと簡単に読めます。
そして読み書きと会話の能力は決して比例しません。

まぁ、国際学会で顔見知りの外国の研究者とおしゃべりする機会もあるでしょうが、
相手が英語を話せる確率のほうがずっと高いと私は思います。


そんなブレインズの弱点をカバーするのがアシスタントのティンティン。
設定に彼女はアメリカとヨーロッパで教育を受けたとあります。
アメリカはキラノがNASAにいた時と他の設定にあるように大学時代、
ヨーロッパはおそらくキラノがパリのヒルトンで料理長をしていたときに
地元の学校に通っていたことを指しているのでしょう。

このように外国生活の長い彼女ですが、本来のマレー語も問題なく駆使できるはずです。
設定にキラノ夫人についての記述はありませんが、
ティンティンが東洋的な出立ちということは少なくともアジア人、
順当なところでマレーシア人の可能性、大。
子供はまず母親の言語を学びますから、マレー語のベースをここで獲得します。
そして父親のキラノは欧米文化の中に長いこと身をおいた後に南の島にいる今でさえ、
伝統的衣裳(?)を手放そうとしません。
そんな彼が娘に母国文化の教育をしっかりと行なったことは想像に難くありません。


…でも、何よりもティンティンは女性。
兄弟達やブレインズがひっくりかえったって、言葉を操る能力で彼女にかなうはずはありませんよ。
ねぇ、皆さん?(男性の方、ごめんなさい…)

2006.7.23

Back