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ささやかに、心をこめて


16th October, 2006

「ハッピーバースデー、ジョン・トレーシー!」
会議室に足を踏み入れたジョンは目を丸くして立ち止まった。
大勢の声と同時に拍手が沸き起こったからだ。
テーブルの上には大きなケーキまでのっている。

ジョンはスタンリーのいる出版社に打ち合せに来ていた。
既刊の装丁を変更するといわれ、
前回の苦い経験から今度は細部までしっかりと把握しておこうと、
わざわざここまで出向いて来たのだ。
そういえば着いた当初から何か変だった。
やけに社内が閑散として静まり返っている。
だがこの後の打ち合せに思いをめぐらせていたジョンは深く考えもしなかった。

「これは…」
言い淀むジョンの隣でスタンリーはニヤリと笑った。
「今日がどういう日か忘れたわけじゃないだろうな。
それにしても、大した人気だな。一声かけたらこの有様だ」
「あ…ありがとう」
目の前の光景に驚きを隠せないジョンを満足そうに眺めながら、
スタンリーはなにくわぬ顔で続けた。
「まぁ、新刊執筆を承諾してもらうささやかなお礼だと思ってくれ」
ジョンは思わず苦笑いを浮かべた。
おいおい、そんな話はまだ一つもしてないぞ…。




Note

ぷらりんさんのサイト『LJ』の第3回目のジョンのお誕生日祭りに
またまた参加させていただきました。

今年のテーマは「外部の人にもジョンの誕生日を祝ってもらおう!」(自己設定…)
だったのですが、お祭り参加に伴って今回はなんと!
ぷらりんさんのオリジナル・キャラクターをビジュアル化するという栄誉を
賜ってしまいました!

ジョンの右にいる人物がその彼、スタンリー氏です。
スタンリー氏についてはぷらりんさんのサイトで
スタンリー氏の出演されるショートストーリーをお読みください。
彼の人となりが非常によく伝わってきます。
私はそれを読ませていただいてスタンリー氏に惚れ込み、
Celebrate You Again』でつたない駄文の中に、
そして今回はとうとう駄画の中にまでご出演いただいてしまいました。

そのスタンリー氏の企てにまんまとはまったジョンですが、
それにしても、あまりといえばあまりのほうけた顔…。
こんなシチュエーションのとき、私の想像するジョンは
突然のあけっぴろげな好意になんと答えていいかわかりません。
…だからってあの顔はないだろう、とは思うのですが…。T_T;


その他の人物は全て私の勝手な創作で、
スタンリー氏とともに出版社で働く人々という設定です。

一番右端にいるのはエスペランサ。
メキシコ移民の両親は、アメリカで生まれた彼女に「希望」という名を付けました。
その意図を汲んでか彼女は上昇志向が強く、
それに見合うように頭の回転も速いタイプです。
両親の話を聞いて育ってきたので、
腕につけているホワイトバンドには彼女の意志が現れています。
(ぷらりんさんにスタンリー氏に協力する営業の女性との設定をいただきました!)

ジョンの左にいる背の高い女性はマイラです。
アフリカン・アメリカンの彼女は、中流のどちらかといえば裕福な家庭で育ちました。
そのせいか、学歴も高く頭脳明晰ですが控えめで保守的な性格です。
目立った特技はありませんが、優しい性格でよく気が付き、
彼女がいると人間関係やプロジェクトが円滑に回ります。

マイラの左隣はウィルソン。
ちょっと前線の後退した彼はこの出版社の部長さんです。
ジョンとは出版社のパーティで少し話しただけの面識ですが、
比較的、良い印象を持っています。
ジョンの誕生日に興味はないですが、彼の前回の本の売れ行きが良かったことから
(=彼の部署の成績向上?)今日は新刊依頼の援護射撃に来ました。

一番左端はジャネット、この出版社の受付嬢です。
レセプショニストとして優秀な彼女は名実ともに根っからの白人ミーハー娘。
もと宇宙飛行士でハンサムなジョンが来社する時はお洒落は欠かせません。
ここで着ている派手な色のワンピースも実は勝負服。
でも、つきあっている彼はちゃんと他にいるドライな現実派です。


などと、勝手なことを書き連ねましたが、
人種が色とりどりで女の子が多いのは単なる作者の好みということで…。


スタンリー氏の設定画、よかったら見てやってください。
Go !

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