Small Talks

5号職場環境調査会


レギュラーメカの中で最大の大きさを誇る、有人宇宙ステーション・サンダーバード5号。
その内部には駐在者のための生活設備から娯楽施設、臨時滞在者のための寝室や医療設備、
天体観測ドームまであるという設定…
…にもかかわらずっ!
映像全てを通じて映ったのは、とうとうあの通信モニター室と仮眠室だけでした。T-T

通信モニター室と仮眠室。
そう、ジョンやアランにとってのお仕事の場です。
というわけで彼らの職場環境(のどうでもいいごく一部)について、
勝手なゴタクをならべてみたいと思います。^_^;



1.通信モニター室に付属している仮眠室

仮眠室はファースト・シーズンとセカンド・シーズンではかなり内装に差があります。

後者の仮眠室は26話でベッドとその奥のデスクが映り、
デスク脇の壁に扉らしき物も2つ見えます。
その下に引き出しのような部分も見て取れるので、2つの扉の中はクローゼットかもしれません。
ベッドの脇の壁には簡易の通信応答装置らしき物もついていて、いかにも仮眠室といった風情です。
登場シーンがジョンの就寝中なので、やや暗めの描写になっているのは仕方がありませんが、
織り模様の目立つ明度の低い壁紙に、先のクローゼットのドアは濃いウォームグレー、
写真立てと時計が置いてある脇のデスクは白でエッジの立ったスクエアなデザインであるなど、
若干、殺風景な感じは否めません。

それに対して、5話で映るファースト・シーズンの仮眠室はジョンの部屋?と思えるほど
内装が充実しています。
寒色系の落ち着いた色の壁紙にナチュラルウッドの窓枠と棚、
袖壁の格子窓が内装にリズムと明るさを演出していますし、
ベッドの脇にあるサイドボードは半円形で、
調度品も本を初めレトロな地球儀など使用者の趣味を思わせます。
ベッドのヘッドボードの奥の壁には賞状か資格の証明書のようなものも飾ってあります。
そしてベッドサイドの窓には満天の星空…。

…ん?窓…??
鈍い私はここまで考えてやっと大穴があることに気が付きました。
この部屋はワイドウインドウに向かって右側の壁に沿って
5号の円形部分の中に向かって配置されています。
…ということは窓があったって外なんか見えるはずない…?
無理矢理、窓を設けることにもこだわってみましたが、
それであれば5号のその他の筐体が視界に入らないはずはありません。
今の今までジョンはあの窓から星空を眺めながら眠りについていたのね…などと
勝手にうっとりしていたのですが、あれは壁に施されたただの円形のアクセントだったわけですね。
事実、満天の星空だと思っていた部分はただの真っ黒な壁。
なんだかなー…。

というわけで「仮眠室」という観点で見ると、置いてある物や調度品、内装から
セカンド・シーズンの方がその名には相応しいような感じがします。
でも、ファースト・シーズンの生活感のあるイメージの方が、個人的には好きなんですけどね。

仮眠室

図:仮眠室のレイアウト(…ってこんな感じ?)



2.通信モニター室のサイズ

ファースト・シーズンとセカンド・シーズンの仮眠室のレイアウトを描いてみようと思ったときに、
どうせなら5号に当てはめてみようと思って、実は『サンダーバード大図鑑1』
(バンダイ発行、1989年)に載っていた5号の平面図のトレースを始めてみました。

…が。
当たりをつけた時点で、どうも仮眠室がやたらと小さくなることに気がつきました。
各本に記述のある5号の全幅90.22メートルで計算すると、
通信モニター室の幅はざっくりと38メートルほど、
奥行は天体観測ドームにかからない長さだとしてもおよそ18メートル。
5号匡体のカーブのせいで両端が若干切れますが、なんと25メートルプールが入るほどの大きさです。

でも、映像で描かれているあの部屋は椅子などの大きさから見て
せいぜい幅10メートル、奥行き5メートル程度。
本に載っている5号の内部構造図は映像の印象に近いですが、
このサイズだと5号の全幅は35メートル程度になります。

でも3号の主要部の直径約7メートルを正とすると、5号も90メートルないと困るんですけどね。
う〜ん…。^_^;



3.通信モニター室のドア

通信モニター室には通信モニターの両脇に2カ所、出入り口があります。
左は仮眠室へつながっている長方形の開口部。
右は扉に『AUTO EXIT』『BOARDING TUBE』と書かれた円形のもので、
『完全版サンダーバード全記録集5』(集英社発行、2007年)を見ると
「3号のドッキングポートへ連結する乗船チューブ用のエアッロックと気圧室がある。」
と書いてあります。
そして「最上層デッキにあるエアロックから船体側面のドッキングポートまでは、
第2層に降りた通路で連結しており、ポート下層で3号舷側にチューブで接続している。」
そうです。(「」内、原文より抜粋)

…?
内部の図をみると確かに円形ドアの向こうに気圧室らしいチャンバーがありますが、
その奥は通常の内部通路に見えます。
ということはエアロックがここにある意味は何なのでしょう…?

何でこんなことにこだわっているかというと、
通信モニター室から階下の居住エリアへ行くにはどこを通るのか知りたかったのです。
もしかしたら仮眠室の映像には映らなかった部分に中心部へ抜ける出入り口があるかもしれませんが、
階下にいるときに救助要請を受信して、通信モニター室に駆け込むのに
仮眠室を通り抜けるというのはアクセス性にちょっと疑問が残ります。

どの図を見てもこの部分がはっきりしないのですが、
では、ここでは円形のドアの方から居住エリアに行くとしてみましょう。
(集英社の本を見るまで、こちらからアクセスするのだと、
個人的にそれはそれは長いこと信じていたので…。^_^;)

通信モニター・コンソールの右にあるドアは赤い縁取りのついた完全な円形のデザインになっています。
人形自体が5頭身なので 何ともいえない部分がありますが、
仮にジョンを普通のプロポーションで身長185cmとしてみましょう。
これはアメリカCDCの2000年度の調査では成人男子の身長の85パーセンタイル近辺に当たります。
4話で映ったドアの向こうのジョンの立ち姿を見ると
ドア開口部の上端はジョンの頭部の上の方に、底面が膝下、脛の中程までかかっています。
そこからざっくり見て、あのドアの内径は155cmほど、底面は床から20cm強の高さになります。

一見したところ、通信モニター室にはドリンクの設備やトイレ等は見当たりません。
仮にこれらが例の仮眠室にあるとしても、さすがにそこで食事まで作るとは思えません。
ということは日に何度かは確実にあそこから出入りする必要があるわけです。

で、開口155cm、床面20数cmのハザード。
ジョンもアランも若くて健康体ですから、もちろんあの程度の段差は楽に越えられますし、
慣れれば無意識のうちに体が動きますから、
頭をぶつけたりつっかかったりする心配もないでしょう。

でも、問題なのがこの「無意識」。
頭では意識しなくても、体は確実に普通に歩く以上に足を上げ、
身を屈めなければならない不便さを認識しています。
ジョンやアランは長い5号の駐留生活の中でだんだんとこう思い始めるはずです。
何かこの部屋から出るのが面倒。何かするときは用事をなるべくまとめよう。
あ、もう遅いな。寝るだけなら…いいや、今日はここで寝ちゃえ。
というわけで、彼らは階下の寝室に戻らず、わざわざ「仮眠」室に寝泊りするようになるのです!


…なんていう理由じゃないでしょうけどね、
5号の生活シーンの描写が全くなかったのはっ!(ぶーっ!`‐´)

2007.6.5

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